小松真一の敗因21か条
参考:虜人日記・ちくま学芸文庫
(日本の敗因 P334~335)
●「日本の敗因21カ条」の原文
下記が、70年以上前、フィリピンの捕虜収容所内で記された「日本の敗因21カ条」の原文です。
日本の敗因
日本の敗因それは初めから無理な戦いをしたからだといえばそれにつきるが、それでもその内に含まれる諸要素を分析してみようと思う。
一、精兵主義の軍隊に精兵がいなかった事。然るに作戦その他で兵に要求されることは、総て精兵でなければできない仕事ばかりだった。武器も与えずに。米国は物量に物言わせ、未訓練兵でもできる作戦をやってきた
二、物量、物資、資源、総て米国に比べ問題にならなかった
三、日本の不合理性、米国の合理性
四、将兵の素質低下 (精兵は満州、支那事変と緒戦で大部分は死んでしまった)
五、精神的に弱かった (一枚看板の大和魂も戦い不利になるとさっぱり威力なし)
六、日本の学問は実用化せず、米国の学問は実用化する
七、基礎科学の研究をしなかった事
八、電波兵器の劣等 (物理学貧弱)
九、克己心の欠如
十、反省力なき事
一一、個人としての修養をしていない事
一二、陸海軍の不協力
一三、一人よがりで同情心が無い事
一四、兵器の劣悪を自覚し、負け癖がついた事
一五、バアーシー海峡の損害と、戦意喪失
一六、思想的に徹底したものがなかった事
十七、国民が戦いに厭きていた
一八、日本文化の確立なき為
一九、日本は人命を粗末にし、米国は大切にした
二十、日本文化に普遍性なき為
二一、指導者に生物学的常識がなかった事
順不同で重複している点もあるが、日本人には大東亜を治める力も文化もなかったことに結論する
日本経済新聞 【2015年9月15日】
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真一の「日本の敗因21ヶ条」は、山本七平氏の著書『日本はなぜ敗れるのか―敗因21ヵ条』(角川oneテーマ21)のベースとなりました。
第29回毎日出版文化賞受賞
(1975年)