c) 第3&4巻:虜人日記(前篇&後篇)

昭和二十年九月一日PW(Prisoner of war 捕虜)になってから、昭和二一年一二月十一日帰国するまでの雑感。
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i5(引用)
捕虜第一夜
サンカルロス製糖工場の広場にバクド線を五尺程の高さに張りめぐらされている中へ、我々は収容された。天幕が沢山建っていた。先着順に入って行ったが、我々の入る天幕はもう無かった。予想外に日本軍が多かったので準備が間に合わないらしい。今度は露営ときまった。思えば四月一日、山へ入った日に小田原の山腹で露に打たれて寝ただけで、その後は天幕、草ぶき、ニッパー等、曲りなりにも露をしのいで寝た。九月一日下山の日、又露に打たれて寝るとは面白い巡り合わせだ。
[虜人日記 ちくま学芸文庫 P185より]